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即位恩赦のメリット・デメリット!どの程度の犯罪が釈放対象か

 

天皇陛下の即位に伴う22日「即位礼正殿の儀」に合わせ、即位恩赦の対象者が55万人を上回る見通しがあると報告がされました。18日に行われる閣議にて正式な決定が行われます

そこで今回は即位恩赦とはそもそもどういったものなのか、また即位恩赦を行うことによるメリット・デメリットについてご紹介していきます

 

即位恩赦とは

話題に上がっている「即位恩赦」ですが、この言葉を初めて耳にした方も一定数居るかと思います。「即位恩赦」について、以下のように説明がされています

即位(そくい):死去したり、譲位した君主(皇帝、国王など)の跡を継いで、その君主位に就くことである。

恩赦(おんしゃ):行政権(又は議会)により国家の刑罰権の全部または一部を消滅、もしくは軽減させる制度のことを言う。赦免復権(とくしゃふっけん)とも。

 

難しい言葉を使っていますが、かみ砕いて説明をすると

「即位に伴って、お祝いとして有罪判決などを免除したり、有罪判決で失った資格を回復させる」

というものです

この制度は日本に限られているものではなく、世界各国でも広く採用されている制度です

いつからある制度か

恩赦の考え方は、646年頃に中国(唐)から伝来してきたものと考えられています

天皇の上皇の即位、死、将軍の官位昇進、将軍の子女誕生、などで恩赦が行われました。当時は、恩赦は天皇陛下が直接命じる事となっています

現在の日本国憲法には、恩赦について以下のように記されています

【日本国憲法】

<第73条 内閣の職務>
7号;大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び複権を決定すること。

現代は内閣が恩赦を決定するため、権利が天皇→内閣へと変化しています

ただし、現代は内閣だけで終わるのではなく、内閣で決められたものを天皇が承認することにより実行されます

 

今回恩恵が行われるのは実に26年ぶりで、その他1989年「大喪の礼」、1990年「即位礼正殿の儀」が行われています

昭和天皇が亡くなられ、昭和から平成へ切り替わる際に行われた「大喪の礼」では大赦が約2万8600人複権が約1014万人に。今回と同じイベントである「即位礼正殿の儀」でも、複権が約250万人に行われました

大赦復権については後程解説します

 

海外の恩赦事情

海外で実際に行われた恩赦は以下の通りです

アメリカのトランプ大統領が人種差別で服役した黒人初の亡きボクシング・ヘビー級王者に恩赦を与えて名誉回復を図った

マレーシア国王が同性愛行為で服役していた元副首相に恩赦を与えて釈放

ミャンマー大統領府が政治犯36名を含む服役中の受刑者8541名に恩赦を与えた

バチカン市国では、2012年12月22日、法王庁の機密文書を大量に流出させた罪で収監されていた元執事が、恩赦された

ブラジルでは、不法滞在の外国人を主に対象とした期間限定の恩赦法が制定、不法滞在の外国人の滞在が合法化

オーストラリア政府は不法所持されている銃器の一掃を行うため、同年7月-9月の間に銃器を提出すれば罪に問わないとする恩赦を発表

この他にも各国で多くの恩赦が行われています

こうしてみると日本が今回行おうとしている即位恩赦は、特別行われているわけではないという事が分かります




恩赦の種類

日本の恩赦にはいくつかの種類がありますが、大きく分けて2つあります

政令恩赦:あらかじめ政令で対象となる罪や刑の種類、基準日などを定め、該当する犯罪者に対して広く一律に行われる

個別恩赦:特定の犯罪者に対し、個別の審査を行い与えられる

今回行われるのは前者の政令恩赦になります

また、個別恩赦に関しては普段から行われているものもありますが、政令恩赦要件から漏れてしまった人を対象として、期間を決めて許可基準を緩める「特別基準恩赦」があります

 

恩赦法に基づいた具体的な種類は以下の通りです

1.大赦
有罪が確定している者に対し、その効力を失わせ、確定していない者に対し、公訴権を消滅させる。大赦を受けた受刑者は釈放、被告人は免訴判決が言い渡され、被疑者は捜査が終結する

2.特赦
有罪が確定した特定の者に対し、その効力を失わせるもの。特赦を受けた受刑者は釈放される

3.減刑
死刑を無期懲役に変更するなど、刑の言渡しが確定した者に対し、その刑を軽くしたり、刑の執行を軽くするもの。執行猶予中の者には猶予期間を短縮可能

4.刑の執行の免除
執行猶予中の者を除き、刑の言渡しが確定した特定の者に対し、刑の執行を将来に向かって全部免除するもの

5.複権
既に刑の執行を終えた者などに対し、有罪の言渡しを受けたために喪失・停止した資格を回復させるもの。選挙違反事件で停止された公民権(選挙権や被選挙権)を回復させるなど

今回行われる政令恩赦では、上記の「1.3.5」が可能です

個別恩赦では「2 ~ 5」が可能となります

 

「2 ~ 5」に関しては有罪が確定している人が対象のため、裁判中の場合は対象外となるそうです

 

恩赦のメリット

一番気になるのは「どうして恩赦が行われるのか」についてです

これについては、法務省保護局が”恩赦を行う狙い”としてコメントをしています

「特に重要なのは、罪を犯した人たちの改善更生の状況などを見て、刑事政策的に裁判の内容や効力を変更する」ところにある

つまり、すでに有罪判決を受けた人たちが天皇により罪が軽くなることを知ることで、更生のへげみになったり、再犯抑制の効果も期待できるというものです

これにより安全な社会を維持することができるとしています

 

ただし一度罪を犯していると聞くと、やはり一般の人からすれば怖いものです。そのためこの制度はあまり納得はされていません

それに、この恩恵が本当に有罪判決を受けた者にとって真の更生の励みとなっているのか、と言われれば「よくわかっていない」のが現状です

 

恩赦のデメリット

恩赦と聞くと、凶悪な犯罪を犯し死刑や無期懲役を受けた受刑者も、罪が軽くなるのではないかとイメージを持つ人も少なくありません

日本で実際に死刑囚が恩赦を受けたケースは6つあります

樺太・西柵丹強盗殺人事件:ソ連軍の樺太侵攻のため、公判記録が滅失。死刑執行手続が出来ないため、その特殊事情により恩赦。無期懲役に減刑。

名古屋愚連隊殺人事件:犯行時17歳であったため、少年法改正により恩赦減刑。

志和堀村両親殺害事件:広島県で発生した小学校助教員による尊属殺人。他の死刑囚とともにサンフランシスコ講和条約批准恩赦で無期懲役に減刑。

菅野村強盗殺人・放火事件:戦後女性死刑囚第1号、重度の精神障害などのために減刑。1979年病死。

小田原一家5人殺害事件:犯行時19歳。一審判決時の判事が減刑のための運動をしたことでも知られる。仮釈放中の1984年7月8日に殺人未遂事件を起こした。

福岡事件:殺害現場にいた実行犯が恩赦減刑。現場にいなかった「主犯」は死刑執行。主犯とされたNについては冤罪と指摘されている。

ただし基本的にこうした例は1989年以降の恩赦では行われていません

近年の恩赦の傾向としては、罪が比較的軽いもの、そして被害者の少ない犯罪や罰金刑に対して行われるものとなっています。そのため基本的にデメリットはないとされています

 

サンフランシスコの事件

過去に一度サンフランシスコ平和条約締結時に行われた恩赦で、14人の死刑囚が減刑されたことがあります

この時、49年に19歳で小田原一家5人殺害事件を起こした死刑囚が無期懲役に減刑され、70年に仮釈放となった後、模範囚として出獄しました

その後84年、同棲中だった13歳の家出少女を、別れ話のこじれから7か所刺したうえ、この少女の友人に対しても3か所刺すなどし、殺人未遂事件の犯人として逮捕されました

このような事例があると、恩赦に対する理解が得られにくいことにも納得ができます




釈放対象の犯罪

作家で元刑務官である坂本敏夫さんはこのように話しています

「対象者のほとんどは、公職選挙法や道路交通法違反など軽微な犯罪に限られます。殺人や強盗のような事件の受刑者が恩赦の対象になったことはなく、今回もその可能性はないとみられます」

罪が軽いから大丈夫である、というわけではありませんが、少なくともサンフランシスコのような重大な事件の起きる可能性は低いと考えられます

 

今回行われる恩赦

今回行われる即位恩赦の内容について、出席者によると「制限されている資格を回復させる複権にとどめる」とのことでした

恩赦と聞くと思い罪が軽くなる、といったイメージですが、今回はそのような恩赦はないとのことです

 

18日に行われる閣議にて正式な決定が行われますが、イメージだけでこの制度を批判するのではなく、内容や歴史を理解した上での発言を心がけていきましょう

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